レイラ・ハタミ Leila Hatami [妻・シミン役]
1972年テヘラン生まれ。
父は映画監督のアリ・ハタミ、母は女優のザリ・コーシュカム(Zari Khoshkam)。
妊娠中の母のお腹の中にいる時に、既に映画に「初出演」している。女優としては、3歳から父親の作品に子役として出演。6歳の時、休暇で家族みんなでイギリスで過ごしている間にイラン革命が起こり、1年間ロンドンにとどまる。その後、帰国。高校卒業後、スイスのローザンヌに留学し、電気工学を学ぶ。2年後、専攻をフランス文学に変更。そしてフランス語を完璧にマスターし、イランに戻る。
1996年には、父の友人であるダリウシュ・メールジュイ監督の“Leila”で初主演を果たし、第15回ファジル国際映画祭で女優賞(名誉賞)に輝いた。1999年には、“Leila”で共演した男優アリ・モサファ(Ali Mosaffa)と結婚。
2002年には、アリレザ・レイシアン監督の“The Deserted Station”に出演し、第26回モントリオール世界映画祭で女優賞を受賞。2005年には、夫アリ・モサファの初監督作品“Portrait of a Lady Far Away”に出演。
2009年には、ハミッド・ネマトラー(Hamid Nematollah)監督の“Pennilessness”に出演し、第27回ファジル国際映画祭の女優賞を受賞。2011年には、本作への出演により、第61回ベルリン国際映画祭から女性キャスト全員に女優賞が贈られた。日本で紹介されている出演作としては、エブラヒム・ハタミキア監督の『フライト・パニック~ペルシア湾上空強行脱出~』(2002)、アッバス・キアロスタミ監督の『シーリーン』(2008)がある。
アリ・モサファとの間に、男女2人の子供がいる。
ペイマン・モアディ Peyman Moadi [夫・ナデル役]
本業は映画の脚本家。
1971年ニューヨークでイラン人夫妻の間に生まれる。2歳でイランに移る。カラジ・アザド大学では冶金工学を専攻。その後、脚本家としてのキャリアをスタートさせる。
『彼女が消えた浜辺』(2009)のペイマン役で映画に初出演し、本作が2作目の映画出演となった。
2011年には、本作への出演により、第61回ベルリン国際映画祭から男性キャスト全員に男優賞が贈られた。また、第5回アジア太平洋映画賞では男優賞にノミネートされた。
シャハブ・ホセイニ Shahab Hosseini [ホッジャト役]
1974年テヘラン生まれ。
テヘラン大学で心理学を専攻するが、ドロップ・アウトして、カナダへ移る。その後、イランに戻って、ラジオ番組のホストをするようになり、若者向けのTV番組の司会を経て、俳優に転身する。
2009年には『彼女が消えた浜辺』に出演し、エリを紹介されるバツイチの男性アーマドを演じた。
同年、ターミネー・ミラニ(Tahmineh Milani)監督の“Superstar”に出演し、第27回ファジル国際映画祭の男優賞を受賞。
2001年には、本作への出演により、第29回ファジル国際映画祭から助演男優賞(名誉賞)を、第61回ベルリン国際映画祭から男性キャスト全員に男優賞が贈られた。
サレー・バヤト Sareh Bayat [ラジエー役]
テレビと映画で活躍している。
アスガー・ファルハディとは、2006年のTVシリーズに続き、2度目のコラボレーションとなった。
本作への出演により、第29回ファジル国際映画祭から助演女優賞(名誉賞)を、第61回ベルリン国際映画祭から女性キャスト全員に女優賞が贈られた。
サリナ・ファルハディ Sarina Farhadi [娘・テルメー役]
アスガー・ファルハディの実娘で、本作で女優としてデビュー。
彼女は、インタビューに答えて、「父の制作現場は見たことがあったので、
仕事の進め方は知っていたけれど、父の演出を受けるのは初めてで、学校で親から授業を教わるような気恥ずかしさがあった。父は身内であろうとなかろうと分け隔てなく、同じ俳優として接してくれたが、個人的には、他の俳優より私には厳しかったのではないかと感じた」と話している。
ババク・カリミ Babak Karimi [判事役]
1960年生まれ。
父親は、イラン人俳優で、監督、劇作家でもあるノスラット・カリミ(Nosrat Karimi)。40年以上にわたってイタリアで暮らしている。本業は俳優ではなく、映画編集者で、イタリアを拠点として、ドキュメンタリー映画を中心に活動している。編集を手がけた作品は、アッバス・キアロスタミ監督らによるオムニバス映画『明日へのチケット』(2005/伊・英)など多数。アスガー・ファルハディ監督は、彼が出演も果たした『明日へのチケット』での演技を見て、出演をオファー。数回の電話とメールでのやりとりだけで、一度も会うこともなしに本作への出演が決まった。当初の予定では、彼をナデル役にし、彼の実父ノスラット・カリミをナデルの父役に起用すべくプランが立てられたが、ノスラット・カリミの出演が叶わなかったので、リハーサルを通して、現在のようなキャスティングに変更された。